▼キャンペーン紹介

■このゲームでは、ビーストバインド魔獣の絆RPGを用いたゲームの説明ページです。

■札幌TGCの2001/04〜09までのキャンペーンを補佐するページです。

第1.5話 蕭牆〜東に別れと始まりありて〜
 魔理子が語る───

今日は土曜日。
わらわ達は、定期テストが終了してほっとしたのもつかの間、理事長に呼び出されたのじゃ。
なにせ、わらわ達はこの学校にて人間の学生として勉学を学びながら、悪しき心の魔物が人間へもたらす災害軽減する役目をも持っている。
いわば、わらわは、2速のわらじをこなす『魔王の娘』なのである。<漢字間違い

この日の理事長からの依頼は、「木○一也(忘れた(笑))」が魔物であるかどうかを調べるというものであった。
わらわ達は、このことを胸に刻み、早速身辺調査にかかろうとしたのじゃ。
(SA:木村一也の正体を暴き、理事長に報告 <カヲル、リック、魔理子)

しかし・・・学校から帰ろうとするなり、同じクラスの○○亜里沙(こっちも忘れた(笑))が黒服集団に襲われていたのじゃ。
こちらに気づいた亜里沙は、自転車に乗っているハジメの後ろに隠れた。
亜里沙: 「ハジメ・・・助けて」
ハジメ:「・・・うん。」
(SA:亜里沙を守る <ハジメ)

その様子を見て、その黒服の男どもは、お定まりの台詞をはいた。
男:「そのお嬢さんを、こちらに渡してもらおうか。」
リック: 「アナタ達、いったい誰なんですか。」
カナダからの留学生、高身長で灰色の髪と眼が印象的なリックは、静かに聞いた。

たいていの生徒なら、これだけでビビるものだが、
さすがに黒服の男達も伊達に訓練をつんでいるわけではないらしい。
男:「・・・高校生に名乗る名前なんて、ないぜ。」
その言葉を聞くやいなや、男達は杓子(警棒のこと)を懐から取り出しおった。
わらわはここ で魔の姿をあらわすわけには行かないと思い、学校に向かって助けを呼んでおいた。
ハジメが自転車を勢いよく半回転回し、亜里沙を乗せて学校に戻ろうとしたときには、既にリックは両手を振りかざし、一瞬のうちに男に飛び掛っていた。

灰色の陣風。
かつて、カヲルがはじめてリックに会ったときに感嘆してそう呼んだのをわらわは思い出した。
それほどに、「一瞬」であったのじゃ。
リックが手を上にあげたかと思うと、話していた黒服の男は、数メートル後ろに吹っ飛んだのじゃ。
魔の姿にもならずに、な。

その後ろから、カヲルが「それみたことか」と声をかける。
カヲル: 「おっさんたち、これ以上怪我しないうちに帰りな。」
これまたそれほどガタイのいいほうではないカヲルが、なにやら自身たっぷりに言うものだから、男どもはこれまたお定まりの台詞をはきつつ、気絶した仲間の身体を抱きかかえ、そばに停めていた黒塗りのベンシ(笑)に乗り込んでいったのじゃ。

◆ ◆ ◆

 リックが語る───

不安がっていた亜里沙さんを 家に送りました。亜里沙さんの家は、純粋なニホンジンの家で、タマジャリ、 カキネ、シシオドシ、ショウジ、エンガワなどなど、今時のニホンの家にしては贅沢で大きい家でした。
彼女の父上は、体格のよい方で、見た目は怖そうですが、とてもやさしいです。
そして、彼女を大変心配しています。
主な心配は、彼女には友達がいないのではないかということです。
私達は、彼女の友達になることを約束しました。とても安心していたようです。

その夜、いつものように月を眺めていました。
ここ桜ヶ丘にいても、ユーコン川のそばにいても、月だけはいつも変わらず私達を照らしてくれます。
けれども、最近、一興産業という会社の新ビルが、天空の 1/3を占めてしまい、東の月が見れなくなってしまいました。空と月の美観を損ねています。
私が眉をひそめてそのビルを見たときに、その方向に、見慣れぬ男を見つけました。
公園に入ってきた男は、一也でした。
一也はクラスメートです。家が建築関係で、大金持ちなのだそうです。
性格もよく、明るくて、友達も多いです。
彼は、遊具の柱にもたれかかって、物思いに沈んでいたようです。
すぐ帰るのならば黙っていようと思いましたが、思ったより深く悩んでいたようなので、声をかけました。

リック:「・・・一也じゃないか。どうしたんだい?」
一也:「いや別に・・・お前こそ、どうしたんだよ。」
リック:「僕は・・・月を見に来ただけさ。」
月。自分でその名前を呼ぶだけで、首筋の毛が逆立つよ うな快感を覚える言葉です。
自分の血が騒ぐのでしょう。一也はそれに気づかず、自分と重ねて、納得したようでした。

一也:「そっか、俺も似たようなものだ。」
というと、自分の父が建てた、一興産業の新ビルを眺めました。
どちらかというと、嫌悪するような眼です。
リック: 「一也・・・」
一也:「自分の思い通りになんて、何もならないのかなあ・・ ・」
私は、彼の意図していることがわからず、聞き返しました。
リック: 「どういうことですか?」
一也:「将来も・・・そして、自分の好きな人も、
結局は自分で決められないのかと思って・・・。」

今、一也はとんでもないことを言っている気がしましたが 、
あえて深くは聞かないことにしました(笑)。
聞けば、彼は私をmeddler (おせっかい・・・あってる?)だと思うでしょう。
私は、なんとなく、彼の悩みがそこにあることを嗅ぎ取り、刺激しないことにしました。

明日、彼に電話してみよう。そう思いました。
もし彼が明日も元気がなかったら、一緒に何かしてみよう。
バスケットなんてどうだろう。
もし本当に悩んでいるなら、何か聞いてあげることができるかもしれない・・・。

私は、そのことを考えていたので、その夜香織さんに電話するのを忘れていたのです。
まさか、それが、あんな危険なときのcalling になるとは・・・。

◆ ◆ ◆

 カヲルが語る───

その日は、俺の大好きな将棋の大会があることを、同じ将棋部の田中が教えてくれたので、休みだというのに午前中から起きて、出かけていった。
他のことはともかく、将棋に関してだけはつらいと思わない。

俺が年寄りだと?
そうさ、俺は「九十九兼光」だからな。
あの時代に生きた俺が、当時の主人のたしなみをいまだに持っているというのも、不思議ではないだろう?

しかし、その日はいささか勝手が違っていた。
将棋のために出かけたはずだったが、途中でリックと会い、そこで彼が目配せした先にいた充と美樹から、妙なにおいをかぎつけた。

ただ、戦いたかっただけだ。
だから多分、本能的に魔物の匂いを嗅ぎつけただけにすぎない。
血の匂いを。

俺とリックは、充と美樹の後を追い、一興新ビルへと入っていく。
エレベーターにはロックがなく、俺らは難なく2人の後を追うことができた。
彼らは29階で降りたので、俺らは28階で降り、換気口へ上る。
彼らは見られていることにも気づかず、そこでワインを傾けはじめた。

姉弟だといっていた2人だったが、2人きりになると、とたんに口調が変わった。
充 :「あの一件、よろしく頼んだぞ。」
美樹:「もちろんです。手抜かりなくやりますわ。」

なるほど。この2人は「仕事仲間」であったのか。
ふん、先ほどの姉弟らしい会話ごときで、俺の目をやりすごしたと思っていたのか。片腹痛いわ。<時々口語くさいしゃべり方をする

彼らは2人の黒服(亜里沙を襲った奴等だった)に指示を出し、一也と亜里沙を捕らえるよう指示を出し、自分らはvip用のエレベータで20階まで降りていった。
何をするつもりか。
いや、何をしたとて、逃すつもりはない。

俺は、瞬間、「カタナ」になっていた。
残念ながら、俺は敵を逃すようには作られていない。
逃さなかったからこそ、「名刀」と呼ばれているのだ。

換気口から充達のいた部屋に飛び降り、29階のエレベータの扉をこじ開け、20階のエレベータの上に降りようと、飛び降りた。
途中で変化し、彼らが気づくように壁に刃を突き立てる。

キーン。
金属と金属が打ち合う音がする。
九十九兼光のこの身体を、エレベータの磨かれた壁の金属に突き立てる。
数メートル下のエレベーターの方が、にわかに騒がしくなる。
当然だ。俺が、これほどの音を出してやったのだからな。気づいてもらわなくては困る。
エレベータに数人の人が乗り込み、疑いもなく上ってくる。

これからが、戦じゃ。
俺の身体が血を求めて震えた。
俺は身体を翻して、力いっぱい回転し、エレベータを支えている綱─手首ほどもある黒い命綱─を引きちぎった。
支えを失った哀れな電気の箱は、乗せていた哀れな人とともに落ち、白い埃を上げた。
見よ。これが人を陥れようとする者の末路だ。

ブルルルル・・・
こんなときにリックの携帯が鳴る。いや、正しくは「震えた」というべきか。
リック:「うん、うん、わかった、あとで折り返し電話す・・・」

落ちたエレベータより、充と美樹が姿をあらわす。
やはり、人ではなかったか。
美樹はリックの姿を見つけると、廃物となったエレベータの上に登り、言った。

美樹:「私を放っておいて、何をしているの?電話?
    ふふふ、それは許さないわよ・・・」
リック:「うわっ、今のは・・・あ、切らないで、ああっ。」

リックよ、わかりやすい男め(笑)。
おおかた、彼女とでも話していたのだろう。

俺とリックは、充と美樹と対峙し、お互いの本来の姿を認め合った。

◆ ◆ ◆

 ハジメが語る───

あの黒服のやつらから、一也と亜里沙を守るために、綾子荘(あやしそう)にこもるはずだった。
けれども、リックの彼女から泣きながら電話がきたので、急いで一興新ビルまで行った。
なぜ彼女が泣いていたのかは、僕にはよくわからなかったけど、魔理子がリックのために急ぐといったので、いっしょに急ぐことにした(笑)。

2人はやっぱり強くて、僕は、「戦い」を強要されなかった。
よかった。
戦いは、好きではない。むしろ、嫌いだ。
それを一度カヲルに言ったけど、「それはお前がまだ生まれて間もないからだ」といわれた。
僕は、自分が戦いを嫌いな理由は、そのせいだとは思わない。
今は、うまく説明できないけど。

そのあと、僕らは綾子荘に戻り、2人を見送ることにした。
魔理子は僕に、亜里沙を送り出していいのかと聞いたが、僕は頷くだけだった。

──「伝説の住人」の僕に、一体何がで きるというのさ。
僕が彼女を幸せにしてあげるより、きっと、彼といたほうが ・・・。
そう思ったから、ことさらに素っ気無い返事だけをした。
何も言わないほうがいい。
いまさら、僕が何を言ったとしても、彼女の幸せを壊すだけならば。
そして、一也もまた、僕の友人なのだから。

10時ともなれば、バスターミナルはとても空いている。
あとは東京行きの最終バス1本しかないから。
それに、この時間に東京行きに乗る若い人なんて、
一也と亜里沙ぐらいだから、余計に目立つような気もした。
そして、バスの時間は迫ってきた。

赤いラインのバスが暗いバスターミナルに入ってくると、僕の心はますますドキドキした。
彼女も似たような気持ちだったのか、ちょっと涙ぐんで、僕の手を握った。
亜里沙:「ハジメ、ありがとう。」
ハジメ:「あ、うん・・・さようなら。」

そして、手は僕から離れた。
彼女は一也の横に並び、 そっと一也の手を握っている。
彼女の手は、今、新しい「手」を見つけた。
2人は、涙を浮かべながら、けれども笑いながら、新しい世界へと旅立っていった。

魔理子:「なんじゃお主、花嫁の父みたいな顔をしておるぞよ。」
ハジメ:「・・・! そんな顔、してないったら・・・」
魔理子:「冗談じゃよ、冗談(笑)。」
僕は、なぜだか泣きそうになる顔を隠したくて、後ろを向いた。

◆ ◆ ◆

 アダムナイトX世が語る───

理事長:「何・・・逃がしてやった、だと?」

理事長の第一声は、これだった。
いつもは任務にまじめな私達が発した言葉だとは思えなかったからだろう。
それもそうだ。一也様を「故意に」逃がしてやったのだから。
そして、リリス様が言う。

魔理子:「・・・そうなのじゃ。たいした魔でもなかったのでな(けろり)。」
理事長:「そーゆーことは、このワシが決めること・・・」

理事長の手は怒りに震えるが、誰も気づいてはくれない。
まあ、いつものことだ。あまりそのあたりの心のひだに触れるような、
やさしい性根の仲間はいない(笑)。

心が完全にできていないハジメ様が、まだ信頼しきっていない理事長に
言葉を発することは未だないのは当たり前としても、カヲル様とリック様も、決して交渉ごとに積極的には突っ込んでこない。
まるで、リリス様を影からサポートするかのように。
彼女の成長を見守るかのように。

魔理子:「でも、今回のことと、テストの点数は、おとーたまには言わないでほしいのじゃ〜(笑)。」

・・・それが、このパーティーの「あるべき姿」だとでも言うかのように。
 

所見
 あうーん。なんか、テーマは「駆け落ち」だったのに、全然ドキドキしなかったね(苦笑)。
 原因は多分パーティー分断だろ。私苦手なんだから、分断させちゃだめだよなあ。
 今回はミステリーものじゃなかったので、考えるのはラクでした。しかし、現代ものは、結局時代考証が難しいので、シナリオ作り上げるのにやっぱり時間がかかった。ファンタジーなら長くて3日、短ければ30分なのにぃ。
 そういえば、この高校は「東稲穂高校」。公立なのに理事長いるのはおかしいねー。理事長はわざと「薄田」さんです。みなさんは、今後本編の方にも登場するはずです。機会があれば・・・むふふ。 


Copyright 1997,2000 by Maki Slime
E-Mail mak@slime.office.ne.jp/ICQ :74236501